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湿度は“強度”だけでなく“擦れ方”も変える

2026.06.25

湿度は“強度”だけでなく“擦れ方”も変える

こんにちは、振動マイスターです。

6月、梅雨入りの声とともに増えてくるのが段ボールの「座屈」や「潰れ」に関するご相談です。
積載荷重や保管期間といった従来の設計要素に加え
湿度による含水率の影響が重なることで、包装設計者を悩ませる季節と言えます。
さて今回は、梅雨時の高湿度が段ボールにもたらす変化について
振動環境との関係も踏まえて考えてみたいと思います。

 

擦れは“歪み”から始まる

ご存知の通り、段ボールは湿度の影響を強く受ける材料です。
湿度が高まるとライナーや中芯の含水率が上昇し、繊維間の結合が弱まり、圧縮強度が低下します。
その結果、保管中や輸送中の積載状態で座屈や胴膨れが発生しやすくなります。
振動マイスターとして注目したいのは、
単に形が崩れるという現象ではなく、「接触の仕方」が変わる点です。
段ボール外装面がわずかに歪むことで、局所的に接触する『擦れの起点』が生まれやすくなります。

 

滑りにくさが“破壊”を招くとき

さらに、湿度は摩擦特性にも影響します。
紙素材は湿度の上昇により表面に微量の水分を吸着し
結果として摩擦係数が高まる傾向を示します。
摩擦係数が高い=滑りにくい、と一見すると良さそうに思えますが
振動下では事情が異なります。
輸送中は完全に動きが止まることはなく
振動によって段ボール同士に僅かな相対変位が繰り返し発生します。
このとき摩擦係数が高いほど、接触部には大きなせん断応力が作用します。

一方で、湿気を含んだライナー表面はすでに強度が低下しています。
つまり、「引っかかりやすく、なおかつ壊れやすい」という状態です。
その結果、表面繊維を引き剥すような破壊が進み、紙粉が発生します。
現象としては「擦れて削れる」というよりも、「引っかかってちぎれる」と表現した方が近いです。

これに加えて、前述の胴膨れなどの形状変化が重なると
局所的な摩耗が加速する可能性が考えられます。
このあたりは定量的に評価した知見はありませんが
現場感覚としては無視できない要素と考えます。

 

湿度という見えないリスクの捉え方

梅雨時期は、圧縮強度低下・摩擦係数の上昇・形状の変化が同時に進行する
いわば「擦れ損が起こりやすい条件が揃う季節」です。
圧縮強度設計だけでなく振動評価においても
この影響を踏まえた条件設定や対策検討が重要になりそうです。
湿度対策を講じることで、座屈だけでなく擦れや紙粉の発生も防げるかもしれません。
湿度という環境因子をどう扱うか
この一点が、品質を大きく左右すると言っても過言ではありません。

今回のコラムはここまで
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