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EV車向け振動試験 その2

2025.05.23

EV車向け振動試験 その2

こんにちは、振動マイスターです。

前回コラムでEV車向け部品の振動試験の一例として
JIS C60068-2-64 広帯域ランダム振動試験方法について書きました。
今回はJIS C60068-2-6 正弦波振動試験方法について説明します。
今回も内容盛り沢山ですので、早速本題に入りましょう。


 

JIS C60068-2-6 正弦波振動試験方法

規格の目的について触れていきましょう。
供試品の機械的弱点及び特定の性能の劣化を判定すること、並びに製品規格とともに
その判定情報を用いて、供試品の合否を決定することを目的とします。
ここでの『供試品』は製品単体または梱包状態の製品は包装材&製品を指します。
噛み砕くと製品の弱点や性能劣化の検証
あるいは製品規格として合否判定にも使えるよ、ということです。

さらりと製品の合否判定に使える、と書きましたが製品規格(合格基準)を規定する為には
例のごとく必須13項目含む27項目を選定する必要があります。
さらに製品規格に基づいて実施された試験報告書に22項目の記載事項が存在します。

きっと受託試験を請け負う方は一つ一つ積み重ねながら構築していくのでしょうが
部品の一つ一つに製品規格を規定することは、企業の試験担当者様にとって
大きな負担となることは想像に難くありません。
そして例のごとく附属書A/B/Cが存在し、大まかに下記の内容が記載されております。

・附属書A:具体的な試験手順や試験条件を例示 ※試験者が目的に応じて選択
・附属書B:供試品が部品である場合の代表的な適用例
・附属書C:供試品が機器である場合の代表的な適用例


 

附属書A:正弦波振動試験方法の指針

試験の進め方ですが、前々回のコラムで書いたJIS D1601 自動車部品振動試験方法では
製品の共振周波数を求める共振点検出試験から実施しました。
JIS C60068-2-6では製品規格で規定している場合を除き、共振検出は必須としておりません。
これは試験対象が多岐に渡り、梱包状態の場合、製品の共振を検出することが困難であることと
共振の特定に長時間の試験を実施することが現実的ではないなどの理由によるものです。


一般的には附属書Aに記載している耐久試験に基づいて実施するケースが多いように感じます。
ということで、話を耐久試験に進めます。
耐久試験は、製品が使用環境で被る振動に応じた試験条件を選定することが重要となります。
試験の厳しさは、試験周波数/振幅(もしくは加速度)/試験時間によって規定されます。


耐久試験には固定振動数耐久試験(一定周波数試験)掃引耐久試験(周波数掃引試験)があり
製品の使用環境下で発生する周波数が判明している場合には前者が
あらゆる周波数の影響が考えられる場合には後者が有効となります。
掃引耐久試験では周波数範囲が広い為、
製品の共振周波数を網羅しやすいことも共振検出が不要となった一因かと思います。

 

試験時間の選択方法

次に試験時間について説明します。
試験時間は、製品がその製品寿命において振動を受ける時間を基に選定します。
自動車部品の場合、その寿命を全うするまでに振動を受ける時間は長期間にわたり
また、いくら振動を与えても破損しない状況も考えられます。
そのため、耐久試験は振動回数10^7(10,000,000)を上限としております。
振動を起因とする蓄積疲労を伴う破損を想定した場合、
この上限回数まで耐えられればその振動で破損することは考えにくい、ということです。


固定振動数耐久試験を周波数50Hzで実施する場合

例えば周波数50Hzで固定振動数雷級試験を実施する場合、
周波数[Hz]×2×T[s]N[]に代入すると、50×2×T10,000,000
T
100,000[s] となり、試験時間は27時間4640が上限となります。
※周波数によって試験時間は変わります。


掃引耐久試験(周波数掃引試験)の場合

附属書Aに下限周波数/上限周波数/掃引時間/掃引回数の組合せ例が示され
想定される環境に近い周波数と試験時間を選択できます。
また製品が受ける振動環境が不明である場合、附属書B/Cを参考に試験条件を選択できます。
図1 附属書A 表A.1          図2 附属書B 表B.1  (クリックすると拡大します)
図3 附属書C 表C.1          図4 附属書C 表C.2  (クリックすると拡大します)
JIS C60068-2-6の内容が少しずつ分かりかけたところでタイムアップとなりました。
次号、EV自動車向け振動試験の具体的な条件選定に迫ります。
今回のコラムはここまで。
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