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PETボトルは語る:進化の落とし穴

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2025.11.25

PETボトルは語る:進化の落とし穴

こんにちは、振動マイスターです。

前回コラムではPETボトルに隠された秘密を解き明かしてまいりました。
日進月歩の進化の結果が現在の形であり、今後も進化の歩みは止まらないでしょう。
さて、今回はそんなPETボトルの進化の過程で訪れた紆余曲折を紐解き
正しいことが必ずしも正解ではないという事例を紹介します。

 

事例① ラベルの密着性向上⇒リサイクル工程での分離を困難に

PETボトルのラベルの密着性を高めることで
ラベルが剝がれにくくなり、見栄えや耐久性の向上が期待できます。
一方、ラベルを容易に剥がせることが重要なリサイクル工程では
ラベル除去の困難さから再生PETの品質が低下し、結果的に環境負荷の増加と
リサイクル率の低下が懸念されます。

製品としての完成度を高めることが、必ずしも環境的に正解ではない、という事例です。

 

事例② ボトル強度の向上⇒輸送中の破損増加

現在ではエコの観点で軽量化や薄肉化などが進められているPETボトルですが
その昔、ボトルの破損を防ぐべく剛性を高める硬質化を実施した事例があります。
落下や圧力によるボトル自体の破損は無くなりましたが、剛性を高めた結果
輸送中の振動や衝撃を吸収できず、キャップやラベルに応力が集中し
想定していなかったキャップのゆるみ/ラベルの破れ/内容物の漏れなどが発生しました。

容器を強くすることが、必ずしも壊れにくくすることではない、という事例です。
以前当コラムでも触れた医薬品(錠剤)の割れ欠けの防止アプローチと通ずるものがあります。

 

事例③ ラベルレス化⇒消費者の誤認の増加

近年増えてきた飲料のラベルレス化ですが
環境配慮の視点で資源削減・リサイクル効率向上という点では正解です。
一方、消費者が商品名や成分を確認できず、購入後に返品される残念なケースもあるようです。
環境に良いことが、必ずしもユーザーにとって良いことではない、という事例です。
ただ、この事例については、消費者の注意力も大事という意見もありそうです。

この事例を聞いた時、麦茶(と思しきPETボトル)に見事に偽装しためんつゆを飲み
豪快に吐き出した少年時代の夏の記憶が甦りました。

 

官能評価 -ユーザビリティの評価指標-

さて、PETボトルに限らず、容器が保存および流通において
重要な役割を担っていることは今更論じなくても共通認識です。
前回コラムで触れた緩めたい時に緩めやすい(緩みやすいではなく)ことに加え、
開ける時に手が痛くならないなどのユーザビリティが重要です。

緩みにくいと開けやすい、相反する2つの要望を満たす為に工夫が詰まっております。
その効果を評価する手法のひとつが「官能評価」です。
これは、消費者層に該当する対象者に対し、開封のしやすさや手への負担
特殊な開封手順の認識性(視認性)など、数値では表せない主観的な感覚を
従来品と比較することで評価するものです。
この評価を経て、容器の最終仕様が決定し市場に流通することになります。

 

外力によるトルク低下の定量化

最終仕様が決定した容器はトルク管理され市場に出回りますが
極稀に内容物の漏れなどの事象が発生します。
漏れの原因の一つにキャップのトルク低下が考えられます。
キャップのトルク低下を引き起こす要因として
経時変化や温度変化の他、振動や衝撃などによる外力の影響が関係します。
しかしながらその影響の程度については、定量的な評価が難しいのが現状です。

アイデックスでは振動や衝撃によるトルク低下を定量的に評価する方法を研究しております。
この研究成果を2025年12月18-19日に開催予定の第63回全日本包装技術研究大会にて発表します。
ご興味のある方は、ぜひご参加ください。

上手く宣伝も兼ねたところで、今回のコラムはここまで!

 
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